寺島実郎の世界観 第11回 「中小企業の見極め方」

2013/09/11

 「就職を機に世界と人生を考える!BS寺島月9トーク」内の「寺島実郎の世界観—今知っておくべきメガトレンド」のコーナーで寺島が語った内容をご紹介します。
 第11回テーマは「中小企業の見極め方」です。

 
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 今、就職を決めても、大卒者の3割が3年で転職してしまっています。せっかく就職したのになぜすぐに辞めてしまうのか、根性が足りないのではないかと思いがちですが、物事には訳があります。
 実際に転職したという若者の話を聞いてみると考えさせられることがあります。ひとつには企業が働いている若い人材を部品としてしか考えてない、育てようとしていないという問題があるのも事実です。実はもう少し深い訳があって、労働の中身がどんどんと平準化してきているという点があります。スキルを磨いてだんだんと熟練者として評価され、給料が上がっていくというタイプの労働が少なくなり、例えばIT革命が進行することによって、コンビニエンスストアのレジをイメージしてもらうと分かるように、バーコードを光学読み取り機で読み取るだけというタイプの仕事が増えてきています。労働の平準化とはそういう意味です。求められる労働の質が、誰がやっても同じになっているため、会社側としてはいくらでも人材を回転できるのです。
 

 さて、そういう流れの中で、学生や若者はどうやって企業を見極めたらよいのか。まず学生としては、企業に向き合ったときに一時の業績ではなくて、その会社の業態をよく見つめるべきだということを申し上げておきたいと思います。華々しく瞬間的に利益を上げ、成長しているような会社がいい会社だと思いがちです。しかし、問題は、その会社がどういう業態、どういうビジネスモデルによって利益を上げているのかということをしっかり見抜く必要があるのです。優れた企業というのは、最初に作ったビジネスモデルをどうやって進化させるのかということに一生懸命に注力しています。つまり、一時の業績ではなく、その業態がきちんと進化しているのかということが、私はその会社を見極める第1点だと思います。
 難しいと思うかもしれませんが、そういう情報というのはどういう所にあるのかというと、例えば全国の中堅・中小企業に関してしっかりとした情報を持っているのは、地場にある信用金庫です。信金というのは、日々、中堅・中小企業と向き合っています。その会社が生まれて発展していくプロセスを一緒に並走しているためよく知っています。もし機会があれば、地元の信金や地場に根ざした実体のある金融活動をしている企業の情報に良く目を通し、どのような会社が地元で信頼を得て評価され、伸びているのかということをチェックポイントにしたらいいのではないかと思います。
 
 企業を見極める2番目のポイントは、経営者です。企業を起こし、それを背負っている経営者の人間力、向上心をどう見抜くか、これが非常に重要だと思います。中堅・中小企業で働く魅力というのは、経営者との距離が近いということです。
 大企業であれば、それこそ大きな組織の部品となって、トップ経営者と出会うなんて1年に1回あるかないかです。ところが、中堅・中小企業というのは、経営者の力にその会社が依存していますから、働き始めてすぐにでも経営者を直接見る機会が多い。それゆえに経営者が持っている力をしっかり見極めないととんでもないことになります。実際にその人の下で働きたいか、その人から吸収することがあるかどうか。できるだけチャンスと捉えて、経営者と向き合ってみる機会を大事にすべきだと思います。
 
 そして3番目。これはトップ経営者だけでなく、その企業の従業員、特に中堅の従業員、又は中間管理職に体当たりしてみてその質を見極めるというのが、中堅・中小企業の見極め方として非常に意味のある方法だと思います。自分自身の5年後、10年後の姿がその人の中にある、中小企業で10年働いてる人が今どういう状況になっているのか。自分に対して何を期待しているのか。そこを見極めることが、実はこの会社が人が育つ会社であるかどうかが、実際に手応えのある形で確認できると思います。単に人事担当者だけでなく、例えば営業や企画等の中枢を支えている人に会わせてもらい、自分の率直な質問を投げかけ、こういう人が育っているのかということを感じ取ったなら、その企業に対する考え方もおそらく変わっていくだろうと思います。

 
 ネットの中に本当の情報はない。自分の感覚、感性で確認しながら、中小企業を見極めていく必要があるということをお話して、この話題を終えたいと思います。
 
 
 
 
就職を機に世界と人生を考える!BS寺島 月9トーク(BS12 TwellV)
第11回放送(2013年3月11日)より
 


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