世界を知る対談 佐々木直義 × 寺島実郎

2013/05/17

201305171831_4-300x0.jpg   オタフクソース株式会社
   専務取締役

   佐々木 直義 氏

 冒頭、寺島は広島のお好み焼きを一つの文化と語り、オタフクソースを、広島という地域の地場産業の大きな柱であると同時に、地方から全国に文化を発信する企業として紹介しました。
 最初に寺島は、広島のお好み焼きが有する歴史的背景を明らかにしました。周知のとおり広島は、原爆投下により壊滅的打撃を受けました。原爆の標的となったのは、当時広島に軍事施設が集中していたからです。終戦後、かつて重工業が盛んだったその地には大量の鉄板がありました。一方、アメリカからの食糧支援として小麦粉が大量に持ち込まれました。そこで、食糧難の中人々の空腹を満たすよう、鉄板と小麦粉を使う一銭洋食をヒントに、具材を入れて食事に変えていき、広島のお好み焼きが生まれました。まさにお好み焼きは、軍事産業の民生転換を通じて悲劇を反転させた戦後復興のシンボルと言えるのです。
 佐々木氏からは、お好みソースが出来るまでのストーリーが語られました。ソース作りは終戦直後に開始され、試行錯誤の中で独特の甘くてとろりとしたソースが生まれました。その後、世界中のスパイス等を加えながらソースを進化させ、甘味とコクのあるデーツという中東のナツメヤシを使用していることなどを説明しました。これを受けて寺島は、日常的に食べているお好み焼きソースの中に、世界中を探して得たスパイスが凝縮されていることを非常に興味深いことと述べたうえで、オタフクソースが、広島という地方都市を世界に展開させる大きな力となっていることに感動的なドラマを感じると語りました。
 次に寺島は、お好み焼き屋を開業したいという人に研修機会を設け、人材を育成することを通じてお好み焼き文化を普及させる企業活動に話題を展開しました。佐々木氏からは、東京に進出した際の話がありました。東京進出に合わせて、1987年「お好み焼研修センター」を作り、焼き方の秘訣から、店舗、鉄板選び、経営ノウハウなどを教えることにより開業をサポートし、お好み焼き文化を広めていきました。現在では大阪や福岡など全国8ケ所に研修センターを配し、広島のお好み焼き文化を津々浦々に行き渡らせています。その話を聞いた寺島は、地方の力を全国に展開するばねがあるとオタフクソースを評しました。
 2人の話題は広島人の有する進取の気性に及び、オタフクソースの世界展開について話が進みました。大学卒業後、「お好み焼きを世界に広げる」という夢を抱いて入社した佐々木氏はすぐにアメリカに行き、お好み焼き屋の開業支援などを行う中で、お好み焼きの普及に取り組みました。しかし、なかなか軌道にのせることができませんでした。このことから多くを学び、オタフクソースの知名度を高めて経営基盤を強化し、国内で足場を固めました。そして、日本の食文化が受け入れられるようになった今、まさに世界に打って出るタイミングだと佐々木氏は強く思いを語り、2012年に中国・山東省とアメリカ・カリフォルニア州で工場建設を開始したことを紹介しました。寺島は、世界の人々が日本の食材・食品を非常にポジティブに受け止め始めていること、また火を通すという調理法は食の安全性を高めることから、お好み焼きが世界に受け入れてもらえる要素を備えていると応じました。
 
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 そして2人は、若者に伝えたいメッセージに話を集中させました。佐々木氏は、オタフクソースのチャレンジし続ける姿と重ね合わせ、若者には閉塞感がある時でも内向きになることなく、どんどん外に出ていくようなアグレッシブさを持って欲しいと訴えました。その話を受ける形で寺島は、どのような企業で働こうかと迷っている若者に対して、経営者・経営陣がどういった問題意識を持って事業を行っているかを見抜くことが大切であるとしました。
 企業から報酬を受け取りながら就業体験を行う「ワークプレイスメント」が話題にのぼると佐々木氏は、世界展開していくためには若い人材が必要であるとしたうえで、企業と学生のミスマッチは存在すると語りました。やはり企業は客観的なデータだけでは計りきれないため、実際に企業を訪ね、その職場で働いてみることでよく理解できるとし、働きながら就職する企業を決めていくことができる「ワークプレイスメント」は、理にかなったものであるとしました。
 最後に、若者との意見交換の中で佐々木氏は、ビジネスを始めたらあきらめないことが大事であると自身の経験を基に伝えました。また、地方・中小企業などのように、ある程度の知識が身に付いたら、若手であっても責任の大きな仕事を任せてもらえるような環境に身を置いた方がやり甲斐のある人生が待っているとメッセージを送りました。寺島は、オタフクソースのように地方から成功を収めて世界にまで展開する企業があるということを、若者が持つ特有の鋭い感性で捉えて欲しいと伝えました。
 
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佐々木 直義 (ささき なおよし)
経歴
広島県生まれ。大学卒業後、ニューヨーク勤務や経営企画室、
国際事業部を経て現職。現在、経営企画の他、国際事業本部長、
Otafuku Foods,Inc.の代表としてお好みソースのみならず、お好み焼きを中心とする日本の食文化をアジア、アメリカをはじめ世界に広めている。
 
 
就職を機に世界と人生を考える! BS寺島 月9トーク(BS12 TwellV) 
第6回放送 (2013年2月4日)より


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