寺島実郎の世界観 第2回 「アジアダイナミズム」

2013/02/19

「就職を機に世界と人生を考える!BS寺島 月9トーク」内の「寺島実郎の世界観-今 知っておくべきメガトレンド」のコーナーで寺島が語った内容をご紹介します。第2回テーマは、「アジアダイナミズム」です。



 
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 今、世界全体のGDPに占めるアジアのGDPの比重は25%を超え、恐らく数年以内に30%を超えるというところに来ています。欧米、日本などが苦しむ一方で成長著しいアジアという状況の中で、アジアの様々な国々が経済的な力を徐々に付けてきているというのは、どなたもご存じだと思います。ようやくアジアGDPが世界全体の25%を占めるところまできたわけですが、国際機関の予測では2050年までには5割を超すと言われています。しかし、私は10年前倒しで、今の若い人たちが就職して会社の中堅になる2040年頃には、アジアGDPが世界全体のGDPの5割を超す時代が来るだろうと思っていますし、その認識が大変重要だと思います。今回は、日本経済にとってアジアとの接点を考える上で重要な指標を1つだけ選び出して話題にしたいと思います。
 
 
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 これは、日本の貿易相手国のシェア(輸出・輸入貿易総額の相手先の比重)です。日本は通商国家で、貿易でご飯を食べている国だと言われますが、一体どこの国と貿易して産業が成り立っているのかというのを1990年と2011年で比較したグラフになっています。日本にとってここで大変重要なのは、バブルのピークと言われた1990年です。1989年にはベルリンの壁が崩れ、1991年にはソ連という国が崩壊した。つまり、我々は冷戦が終わったという頃から20年経ったところにいるわけですが、この間、日本の産業がどう変わったのかということがここから分かってきます。
 
 1990年には対米貿易のシェアが27.4%を占め、日本の産業は3割近くをアメリカとの貿易で成り立たせていたのです。ところが、その比率は年々落ち、2011年にはついに11.9%となり、限りなく1割に迫ってきています。
 次に中国ですが、1990年の対中国貿易のシェアはわずかに3.5%でした。それが2011年には20.6%となり、対米貿易の約2倍が対中国貿易で成り立つという姿に変わってきています。ご存知のとおり、中国という国は非常に難しい国です。知的所有権の問題、領有権の問題、あるいは様々な摩擦や反日暴動のような問題でさえ起こってしまいます。簡単には経済関係などを享受できる相手ではありません。要するにこのグラフは、良い・悪いということを超えて、事実として日本がいかにアジアとの関係において経済を成り立たせている国になったのかということを意味しているのです。
 
 経済は、何も物の動きだけではなく、例えば、人の動きもあります。2011年は東日本大震災のために日本を訪れる外国からの来訪者が600万人台にまで減ってしまいました。ところが、2012年は回復してくると思います。ところが、この海外からの来訪者のうち、アジアからの来訪者が実は8割を超えているのです。今、日本は海外からの来訪者3,000万人を目指し、観光庁を作って観光立国に向けて進み始めています。ところが、その海外からの来訪者のうち、現実的には多くがアジアからの来訪者です。特に、大半は中国本土及び中華系の人たちが2,000万人を超すということで、彼らが日本の観光立国を支えることになると思います。
  
 このような状況において、例えば日本のサービス産業に就職しようという人は、否応無しにアジアからの来訪者、あるいはアジアに出て行く日本人などの人の動きを見なければなりません。アジアとの関係をベースに日本の産業が成り立つという方向に向かっていることだけは否定できないのです。従って、どういう会社に勤めようか模索している人も、結局突き詰めて行くと、このアジアのダイナミズムとどう向き合うかという問題意識にぶつかります。そうした時に、文化を含めた様々な意味で、アジアをより深く理解し、認識を持つということが、これからの人生において、どのような職業に就く人にとっても大変重要なポイントになると私は思っています。
 
 この「アジアダイナミズム」というキーワードを噛みしめて、自分の職業を考える上でこの言葉が意味することを真剣に考え抜いて、進路を考える上での一つのヒントにしていただきたいと思います。

  
 

就職を機に世界と人生を考える!BS寺島 月9トーク(BS12 TwellV)
第2回放送(12月24日)より
 


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