寺島実郎の世界観 第1回 「カセギとツトメ」

2013/02/12

「就職を機に世界と人生を考える!BS寺島 月9トーク」内の「寺島実郎の世界観-今 知っておくべきメガトレンド」のコーナーで寺島が語った内容をご紹介します。第1回テーマは、「カセギとツトメ」です。


 
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 若い人たちの中には、なぜ働かなければならないのか、働くとは何なのかという本質的なことについて、悩んでいる人たちが結構多いと感じています。そこで、私なりの考え方を最初に話していきたいと思います。
 「カセギとツトメ」とは、つまり大人になるということは一体どういうことなのかということです。これは、原始共産社会から今日に至るまで人間社会に存在している一つのルールだと思います。私も世界中を動く中で、いろいろな社会を見ています。この「カセギ」とは何を意味しているのかというと、経済的自立です。経済的自立をしていない人間は、どんな社会でも大人とは認められない。自分で努力して稼ぎ、経済的自立を求める意志を持っていることが、大人だと認められる一つの要素であることは、やはり否定できない現実だと思います。
 ところが、ただ経済的に自立さえしていれば、つまり、稼いでさえいれば大人なのかといわれるとそうではないのです。「ツトメ」というのは、お勤めという言葉がありますが、仕事のことです。世の中に対する貢献や責任を果たしていることを認められてこそ大人なのです。どのような社会でも、そのコミュニティや社会の中で一定の役割を担い、貢献して責任を果たしていると認められて、初めて大人と認められると思います。言葉は荒いですが、結局大人であるというのは「カセギとツトメ」なんだと私自身いつも感じています。
 
 ところが、意外にこれは難しいことです。特に今の若い人にとって、自分一人がご飯を食べていけるくらいの生活費を確立するのは、そんなに難しい話ではありません。就職難だと言われていますが、時間を切り売りして時給1,000円ぐらいで、自分一人が世をしのいで生きて行ければ構わないというのであれば、そんなに難しい時代ではありません。しかし、世の中に認められて、自分がやりたいと思うことを貫いて、納得のいく仕事を見つけ、その中で役割を果たしていくのは、この時代そんなに容易いことではありません。今、仕事の中身が分業化され、システム化されています。そのような時代において、全人格的な喜びが得られるような仕事を見つけ出すのはとても難しいことです。
 
 対談にご出演いただいた村上憲郎さんの人生を見つめる視点として重要なのは、転社される中でも一点の志を持ち、IT・ICTの世界に視点を置き、自分の問題意識を深め、自分の職能をも深めています。自分は一体なんのために世の中に存在している人間なのかということを自問自答しながら進まれています。正直に言えば、私自身が若い時からそのことにどこまで気付けていたのかというと、これだという手応えのあるものに出会ったのは、そんなに若い頃だったとは思えません。しかし、経済的に自立を図ればいいというだけでもなく、自分に納得のいく仕事を見つけ出していくことに関して、やはり真剣でなければなりません。
 私は、番組(就職を機に世界と人生を考える!BS寺島 月9トーク)やこのウェブサイトを通じて、皆さんに少しでも考えるためのヒントを提供したいと思っています。そして、それらから何か閃いたり、自分の進むべき方向を見つけていただければ、大変意味のあることでしょう。この「カセギとツトメ」を、ぜひ問題意識をスパークさせていくきっかけにしていただければと思います。
 

 
就職を機に世界と人生を考える!BS寺島 月9トーク(BS12 TwellV)
第1回放送(12月17日)より


 


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