第10回 未来挑戦型企業クローズアップ

 第10回  未来挑戦型企業クローズアップ                
 
 未来挑戦型企業クローズアップ第10回目のゲストは、あらゆる機械に必要な軸受けを主力製品とする株式会社ヤマトメタルの柴田行延代表取締役社長です。インタビューでは、明治33(1900)年創業という長い歴史の中で大切にしてきたビジネスモデルと、日本のものづくりの課題、さらには今後の展望についてお話いただきました。 
 


代表取締役社長 柴田 行延 氏 
 
 
                                          
株式会社ヤマトメタルをご紹介します
 明治33(1900)年、国内初のメタル製造会社としてヤマトメタル商會が創業。110年を超える長い歴史の中で蓄積された高度な「匠」の技術をもとに、多品種・小ロットのオーダーメイドに対応する柔軟な体制で、高品質・高付加価値の製品を国内外に提供してきました。またISO14001認証を受けるなど、環境への配慮にも積極的に取り組んでいます。
【設立】 1900(明治33)年
【従業員】 30名
【本社】 千葉県柏市
【業務内容】 ホワイトメタル、銅合金、低融点合金等の製造及びすべり軸受等の加工品の
製造販売、各種母合金並びにその製品の製造販売
【ウェブサイト】 http://yamato-metal.com
 
 PART 1  110年超の歴史をもつ会社

―――御社の創業は明治33(1900)年であり、非常に長い歴史があります。

 弊社は明治33年、「ヤマトメタル商會」として創業しました。2015年には115年目を迎えます。この間、一貫して滑り軸受(ベアリング)を製造してきました。
 
 業界では「滑り軸受」を「メタル」と呼びます。「メタル屋」としての技術を養い、新たな開発に挑戦してきた弊社のビジネスモデルは、創業から現在に至るまで大きな変化はありません。

 しかし、軸受が使われる動力機械の技術発展に伴い、製品の形状や設計は、当然のことながら非常に繊細かつ緻密に進化しています。弊社はメタル屋としての生業を忘れず、職人集団を継続して確保・育成し、これにより他に真似ができない製造技術の開発と蓄積をしてきました。115年間も事業を継続できた理由はこの点に尽きます。
 


1900(明治33)年ヤマトメタル商會として創業
2015年で創業115年を迎える

―――御社の主力製品である軸受についてご解説をお願いします。
 
 機械には必ず伝動装置で回転させるための軸があります。その軸を支える部品が「軸受」(ベアリング)です。軸受は構造上大きく分けて2種類あります。1つは、中にボールが入っている「ボールベアリング」。加えて、弊社が製造している「滑り軸受」です。
 
 滑り軸受とは、潤滑油を加えて油膜をつくり、その油膜でシャフトと軸受けが接触して摩耗しないようにする軸受です。摩耗を起こさないので耐熱性・耐摩耗性・耐圧力性に非常に優れています。
 
 滑り軸受の製造過程では、丸い鋼のパイプ状の内面に錫や銅等をベースとした各種メタルを溶かして溶着させます。実はこの溶着がとても難しい。気泡が絶対に入ってはいけないからです。気泡が入ると、回転しているうちに、疲労の要因となります。つまり、完全密着させる必要があります。この溶着技術は弊社の強みです。

 さきほど「溶着した錫を溶かす」と言いましたが、それはホワイトメタルという名の合金です。ほぼ9割は錫が原料なのですが、銅、アンチモンなどの特殊な合金を混ぜ合わせることでいくつものスペックに対応します。実はJISのスペックも弊社が制定したものです。使用の目的によって強度、耐久性、耐熱性など、成分によって若干異なりますが、この溶着技術を有しています。
 

軸受

なじみ性、耐摩擦性、対疲労性に
非常に優れているメタル(滑り軸受)

―――まさに職人の「匠」の技ですね。
 
 弊社のビジネスモデルは、完全に多品種・小ロットのオーダーメイドビジネスです。お客様は世界一流の重工業企業やメーカーです。我々は、お客様の設計図に従い、求められるスペックを満たす製品を作ります。また、省エネ化も考慮します。その結果、表向きは同じような形ですが中身が全く違う製品が出来ます。軸受も、それぞれサイズや要求スペックが異なりますので、お客様はご注文ごとに一枚一枚設計図を下さいます。弊社は、その要望に応えて製造していきます。
 
 我々は月に何百もの設計図を見ながら生産します。同じ製品の繰り返し注文もありますが、多くはほぼハンドメイドに近い状態です。
 
 汎用性がある製品の製造では一部機械化していますが、一図面あたり2~6個の製造であり、オートメーション化して自動で製造していくというものではありません。そこで、いかに職人に動いてもらうか、ここが経営者としての腕の見せ所となります。そのため、高度な専門性をもった職人集団の形成を目指して、苦戦を伴いながらも尽力しています。
 
―――創業した会社が、事業を10年継続できる可能性は5%と一般的に言われています。

 なぜ弊社は、110年以上も事業を継続できているのか。それは、一貫してメタル屋としての生業をブレずに続けてきたことに尽きます。

 当然、時代の変化や、お客様からのニーズの変化もあります。メタル屋として大事にすべきは、結局、個々の設計図に込められたお客様のご要望を満たすこと、さらにはミクロン単位の要求に応える技術を有する特殊スペックの職人を育てることです。
 
 弊社のお客様も、顧客からの仕様依頼に従い、カタログ外の重工機械を木目細やかなスペックを満たすべく製造されます。オートメーション化が不可能な多種多様かつ高品質なものづくりが要求され、それを実現できる匠の職人技が必要不可欠なのです。
 

低融点合金
軸受けと並ぶ主力製品である合金。
70℃以上で溶け70℃以下で固まる。
【使用例】温度ヒューズ、素材保持剤、有機ELの電極など

                                                                                                                                     
 


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