第3回 未来挑戦型企業クローズアップ

- 現下の就職ミスマッチについて -
 
Q:現在、大卒者の20パーセントは進路が決まらないままで、入社しても新卒社員の3割が3年以内に離職している状況があります。この要因の一つとして、学生がなかなか地域の優良企業の状況を認識できない。たとえば、これから伸びる実力や高い技術を持った企業があっても情報がないために出会えない。つまり、「知る場」がないというのがミスマッチの一つの原因だと言われていますが、このようなミスマッチの現状や、なぜそのようなことが起きているかなど、経営者の立場からご意見をお聞かせ下さい。
 

やはり雇用する側にも、される側にも原因はあるのかなと思っています。
 
経営者の視点で周りの中小企業を見ていると、中小企業の経営者は、現場に出て作業していたり、足元の資金繰りをしていたりして、経営というよりもむしろ現場作業に携わっている経営者が多いのが実態だと思います。そのため、社員に向かって「我々はこうやっていくんだ」というビジョンを掲げて、社員をリードしていけている中小企業は少ないのだと思います。社員に伝えられない経営者は、当然就職活動生にも伝えられません。
 
また、例えば大手の就活サイトに広告を掲載するには相当な費用がかかりますし、知識がなければ何を書いていいか分かりません。しかも、新人を毎年採用できる中小企業というと限られていますから、中小企業は何年かに1回という割合で掲載することになってしまいます。何年かに1回では経営者は忘れます。
 
そもそも中小企業の経営者にはビジョンを語る機会が少なく、また、日々の業務の中ではそういうところに考えが及ばないぐらい足元の業務に注力してしまっています。ですからやはり経営者は、自社のホームページなりで自社の想いを発信していく必要があるんだろうなと思っています。経営者のビジョンや、優れた技術等を持った企業があったとしても、それがどう優れていて、その技術が何に活用されているのかを伝える場がなければ、学生には伝わりません。中小企業の経営者は、こういったことを整備していくことが重要だと思います。
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一方、雇用される側の学生については、私はよく信州大学の学生と話す機会があるのですが、やはり企業に入って安定を求めているという方が多いようです。そもそも経済、企業が安定していないこの時期に面接に来て、安定を求めていますということでは難しいのでは、と思ってしまいます。特に我社の場合は、常に新しいことにチャレンジして、新しい事業を作っていく会社ですので、我々にない視点を持っている人、モチベーションの高い人、新しいものを作っていける人がやはり魅力的に感じます。
 
私は取引先との商談で中国に行くことがよくあります。その際、取引先の中国人経営者と会食に行くのですが、彼らは自分たちの子どもやその友人たちも会食に連れてくるのです。中国ではそういう文化らしいのですが、家族ぐるみの付き合いだ、ということなんでしょうね。その時、その子どもたちに「後を継ぐのか」と聞くと、「後は継がない、自分で起業したいんだ」とか、その友達も「海外の製品を中国で売る会社を既に始めた」とか、皆とても積極的なんです。親が会社経営をしているから、そのまま継ぐということではないんですね。話をしていると目が輝いています。
 
一方、日本の学生と話すと、「就職が決まらないんです」と言っていて、「何を求めているの」と聞くと、「安定を求めています」という返事が返ってきます。中国人の学生とは意気込みが全然違います。今、日本は経済が低迷していますが、世界にはまだまだ前向きな人がいます。やはり採用する側としても、安定を求めていて言われたことだけやっていればいいという学生よりも、「あれもこれもやってみよう」という、ちょっとやんちゃで勢いのある学生に魅力を感じるのではないでしょうか。
 
 
 
Q:今、おっしゃられたように、学生には企業の情報が伝わらない、企業には学生が何を求めているか分からない。双方にミスマッチの原因があると思います。今我々が推進しているものとして、インターンシップやアルバイトとは違うワークプレイスメントという新たな有償型就業体験を推進しています。このワークプレイスメントについてお考えをお聞かせ下さい。
 
ワークプレイスメントは良い取り組みだと思います。ただ、取り組みやすい業種とそうでない業種があるのではないかと思います。企画系など、新しいものを創っていこうという部署では学生の真白で先入観のない視点は一つの価値となり易いと思います。
ただ、製品メーカーに入って現場で一緒に何かを作ってみるというような場合は少し難しいのかもしれません。現場を見てみるということは良いのかもしれないですが、ただのパートのようにならない仕組みが必要だと思います。製造現場ではある程度の効率が求められて、やはり1時間で何個作れるかという話になりますので、現場だけでなく、その企業全体をよく知るという機会を持てるかどうか、工夫が必要だと思います。
 
もし、我社で学生を受け入れるとしたら、健康食品等の商品企画を担当してもらいたいと思います。我社は海外から資材を仕入れて、日本で製品開発しています。商品企画と販売用のホームページの企画がおもしろいと思います。


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