第3回 未来挑戦型企業クローズアップ


 未来挑戦型企業クローズアップ3回目のゲストは、長野県という地域性のある事業から展開し、多様な事業へ挑戦し続け、海外とのネットワークをも深めている未来挑戦型企業・アスク工業株式会社より、代表取締役社長の高橋総様にその経営理念、新たなる挑戦及び学生へのメッセージを語っていただきました。

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- 未来挑戦型企業として -
 

Q:「ありがとう。その一言のために」という創業当時からの志がありますが、この言葉に込められた思いをお聞かせください。
 
201301111124_2-300x225.jpg我社は41年前に私の祖父が研磨剤の商社として創業した会社です。研磨剤をご提供させていただいているお客さまから次第に研磨剤以外の様々なご要望をいただくようになり、それに応じて商品、事業数を増やしてきました。
 
我社で一番ユニークな製品は、スキー・スノーボードの材料として使われるアスナーシートという製品です。30年程前に開発したこの製品は、当時研磨剤を購入いただいていたスキーメーカー様から、こんなスキーの材料を作れないかというご要望を頂いたことがきっかけで我社にて開発したものです。
 
アスナーシートは、特殊な表面加工を施したゴムのシートです。実は、スキーは何層にもなっていて、接着剤でつけただけではマイナス20℃などの環境で何度も使っていると接着剤が破断しスキーが割れてしまいます。ですから層と層の間に振動を吸収するゴムシートが必要なのです。しかし、ゴムというのは通常接着が難しい製品で、特殊な加工を施さないと剥離してしまうのです。
 
当時、大手メーカーも含めて6社ぐらいがこの製品の開発に挑戦したそうですが、いずれもその難しさから開発を断念し、結局最後まであきらめずに開発にこぎつけた我社だけが製品化に成功したのだそうです。この製品は、日本だけでなく世界へも販売を開始し、今では9割が国外のお客さまになっています。今でも順調に出荷が伸びていて、現在世界シェア50%にまで到達しています。
 
この製品の開発が我社の一つの大きな転機となりまして、研磨剤だけではなくて、お客様からいただいた様々な課題や難題を解決していく会社になろうということになりました。今では半導体製造用部品を作ったり、金属・ゴム・プラスッチックの製品を作ったり、健康食品を作ったり、中小企業のM&Aサイト「Tranbi」を運営するなど、様々な事業に着手するようになりました。「うちは研磨剤だから研磨剤しか売りません」ということではなくて、「お客様が求めてくださるように、我々が変わればいい」というコンセプトでやってきました。
 
我社は、今までに200を超える商品と事業を開発してきましたが、今現在残っているのは7事業程度しかありません。1つの事業を興し成功させることはとても難しいことです。企画をいくら精緻に検討してもなかなか成功率は上がらない。むしろ、ダメでもいいからまずやってみて、お客様に提案し、買って頂けるようなら買って頂こうというスタンスでいつも何かしらの開発が社内で進んでいます。研磨剤を売ったり、半導体の材料を作ったり、健康食品の通信販売をしたり、とにかく色々なことをやってお客様に喜んでもらえればという思いでやっています。
 

Q:スキー用品の材料など長野という地域性のある事業展開をされておられますが、創業の地である長野への想いについてお聞かせください。
 
長野にずっと住んでいるとなかなか気が付かないのですが、国外に出てみると、長野は冬季オリンピックの開催もあったおかげで「信州」という一つのブランドができ上がっています。たとえば、北海道もブランド化されていてドラマのロケ地になっていますが、長野も同様で多くの海外の観光客が訪れています。
 
この「信州」ブランドを活かして、世界的な視点で企画していくことにチャレンジするのは面白いことだと思います。私自身もそのプロジェクトに関わりたいと思っております。日本の人口は減っていますし、高齢化も進んでいますので、長野の中だけで何かをやろうとするのはなかなか難しいです。でも、視点を世界に広げてみると長野は良いブランド価値を持っているので、それを上手く活用して提案していくということが面白いと思っています。


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